調剤業務の流れを妨げない「ミスゼロ子」エラーログ機能で働き方の改善も可能
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エムハート薬局各務原店様(岐阜県各務原市)
エムハート薬局各務原店では、2017年5月、(株)クカメディカルが開発した調剤過誤防止ピッキングシステム「ミスゼロ子」を導入した。使い勝手の良さと素早い反応で業務の効率化を実現。別物間違いなどを大幅に減らしたほか、データを分析し、 働き方の改革につながる成果を得ている。
エムハート薬局各務原店で活用されている「ミスゼロ子」。エラーログ機能(左画面)を使うと、どの薬剤でピッキングミスや入力ミスを起こしたかが分かる。
岐阜県南部に位置する各務原市のエムハート薬局各務原店は、(株)ミック(本社:愛知県名古屋市)が全国展開する147店舗(2018年8月末現在)のうちの1つ。同店は、アルコールや薬物などの依存症治療に力を入れている病院に隣接、市街地から離れていることもあり、この病院からの処方箋が9割を占める。 常勤薬剤師4人、事務4人(うち2人が時短勤務)のスタッフ構成で、処方箋応需枚数は1カ月当たり約2,000枚、医薬品は約1,200品目を備蓄している。精神科や心療内科での専門性の高い治療を受けるため、各務原市内だけでなく、愛知県一宮市や岐阜県高山市など、遠方からの来患も多い。
「疾患の性質上、積極的な会話を望まない方も少なくないの で、様子をみながら丁寧に接客しています」と同店の管理薬剤師、滝沢友理氏は話す。ジェネリック医薬品の使用率は約75% だが、使用薬剤については医師も患者もこだわりが強い傾向にあり、先発品限定の処方箋も多いという。
「抗不安薬をはじめ、よく処方される薬剤には眠気の副作用がみられ、この点を気にする患者さんもいらっしゃいます。そのため、患者さんの生活スタイルや体調に応じた服薬指導を心が けています」(滝沢氏)
「ミスゼロ子」のデータを分析し、学会で発表
「ミスゼロ子」の導入に関しては、岐阜支店エリア長を務める薬剤師の森厚司氏が大きな役割を果たした。森氏は以前、他社に勤務していた際に、自社開発のピッキングシステムを使用していて、ハンディ端末を用いた監査システムの有用性を感じていた。ミックに入社後、学会でクカメディカルのブースを訪れて「ミスゼロ子」と出会い、会社に強く働きかけて3年前にエムハー ト薬局芥見店(岐阜市)への導入を推進した。
「芥見店で従来から使っていた監査システムは、反応速度や精度に問題があり、患者さんが多いときに業務の停滞が生じて いました。『ミスゼロ子』は反応が素早く、調剤業務の流れを妨げることなく、調剤過誤を防いでくれます。また、薬剤情報の変更に対して、定期的に薬品マスタが提供されるので、薬剤師にとって使い勝手が非常に良い製品です」(森氏)
芥見店での成功を踏まえて、各務原店を含む近隣店舗に次々と「ミスゼロ子」が導入されていった。滝沢氏は「近隣店舗に薬剤師が応援に入った場合、店舗ごとに薬剤の配置が異なる ため、『ミスゼロ子』の棚番表示機能が助かります。忙しい時間帯だと、いちいち聞きにくいですからね」と話す。
さらに「ミスゼロ子」では、エラーログ機能を使うと、いつどの薬剤でピッキングミスが起こったのかが分かるようになっている。 森氏らは、このエラー情報を分析したヒヤリハット発生状況を、2017年の日本薬剤師会学術大会で発表。今年は日本薬局学会学術総会で「ミスゼロ子」に関連する学術発表を行う予定だ。 「森氏らの検討では、「ミスゼロ子」の導入によって、取り忘れ取り間違いが大幅に減少したことや、薬剤師の異動によるヒヤ リハット件数の増加も抑制されることが明らかになっている。「ミスゼロ子」の分析機能により、連続勤務が続くとミスが発生しやすいことや、混雑する午前中だけでなく混雑していないタ方以降でミスが発生しやすいことなども判明した。
「連続業務を避けたほうがよいことや、夕方以降の患者さんが少ないときも注意する必要があるなど、定量的に評価して初めて分かったことです。こうした『ミスゼロ子』の可視化機能を最大限に活用して、業務の改善や働き方の改革にもつなげていきたい」と森氏は話す。
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